炭素繊維とは

炭素繊維（たんそせんい、Carbon Fiber）とは、炭素を主成分とする非常に細い繊維状の素材で、高強度・高弾性率・軽量といった特性を持つ先進的な材料の一つです。直径は一般的に5〜10マイクロメートル程度で、主にアクリル繊維（PAN：ポリアクリロニトリル）やピッチ（石油や石炭由来の残留物）などを高温で焼成して作られます。

炭素繊維は、鉄やアルミニウムよりもはるかに軽く、それでいて引張強度は鋼鉄をも上回るほど強いのが特徴です。また、熱膨張率が小さく、化学的にも安定しているため、極限環境でも性能を維持できる優れた素材です。
その優れた特性から、航空宇宙、自動車、スポーツ用品、建築材料、医療機器など幅広い分野で利用されています。例えば、航空機の機体には軽量化と燃費向上のために大量の炭素繊維が使用されており、F1カーや自転車のフレーム、釣り竿やゴルフクラブなどの高性能スポーツ用品にも使われています。

炭素繊維は一般に、複数の繊維を束ねた「トウ（tow）」という形で供給され、そのまま使われるか、樹脂と組み合わせて「炭素繊維強化プラスチック（CFRP）」として成形されます。CFRPは特に軽くて強く、自由な形状に加工しやすいため、構造部材としての利用が進んでいます。

近年では、リサイクル技術の進展や生産コストの削減により、より一般的な分野でも炭素繊維の利用が拡大しています。持続可能な次世代素材として、今後ますます注目される存在です。

炭素繊維の使用用途

✅ 航空機の機体部品
軽量で高強度のため、ジェット機やドローンの構造部に使用されます。
✅ 自動車の車体構造
スポーツカーや電気自動車などで軽量化と強度向上のために用いられています。
✅ スポーツ用品
テニスラケット、ゴルフクラブ、自転車のフレームなどに使われ、操作性と耐久性を向上。
✅ 医療機器
X線を通しやすいため、CTスキャナーのベッドや義肢などに利用されています。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。