クロム酸（化学式：H₂CrO₄）とは

クロム酸（化学式：H₂CrO₄）は、クロムの酸化物の一つで、強力な酸化剤として広く使用されます。クロム酸は、クロム酸塩（クロム酸ナトリウムやクロム酸カリウムなど）と密接に関連しており、クロムが+6の酸化状態を持つ化合物です。この酸は、無色から黄色の溶液を形成することがあり、特に金属表面の研磨や清浄、または金属のメッキ処理に使用されることが多いです。

クロム酸は、工業的に多くの用途があります。特に、金属表面の前処理や研磨に用いられ、酸化反応によって金属の表面を清浄し、耐食性を向上させる効果があります。また、クロム酸は、化学工業や製薬業界で化学反応を触媒として利用することもあります。クロム酸は非常に強力な酸化剤であり、例えば金属の洗浄や防錆のための化学処理において不可欠な役割を果たしています。

しかし、クロム酸には高い毒性があり、取り扱いには注意が必要です。クロム酸の蒸気や粉塵を吸引したり、皮膚に触れると、急性の毒性反応が現れる可能性があります。特に、クロム酸の長期間の曝露は、呼吸器疾患や皮膚炎を引き起こし、さらには発がん性を持つことが知られています。このため、クロム酸の使用は厳格に規制されており、取り扱いには適切な防護具と換気が求められます。

環境にも影響を及ぼす可能性があり、クロム酸が水源や土壌に漏れると、その汚染は深刻な問題となります。クロム酸を含む廃棄物は、適切な方法で処理し、リサイクルすることが求められています。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。