フルオロ酢酸（Fluoroacetic acid、化学式：CH₂FCOOH）とは

フルオロ酢酸（Fluoroacetic acid、化学式：CH₂FCOOH）は、フッ素原子が1つ置換された酢酸の誘導体で、非常に毒性の強い有機フッ素化合物です。無色の固体または液体として存在し、水によく溶けます。この化合物は、主に殺鼠剤（ネズミ駆除剤）や農薬として使用されてきました。特にそのナトリウム塩であるフルオロ酢酸ナトリウム（Sodium fluoroacetate）は、「1080」とも呼ばれ、オーストラリアやニュージーランドなどで有害動物の駆除に利用されています。

フルオロ酢酸の毒性は、体内でフルオロクエン酸（fluorocitrate）に変換され、クエン酸回路（TCA回路）を阻害することで細胞のエネルギー生産を止め、死に至らしめることにあります。ごく少量でも致命的な作用を持つため、取り扱いには厳重な注意が必要です。

また、一部の有毒植物（例：Dichapetalum属）にも天然に含まれており、動物中毒の原因となることがあります。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。