トリフェニルホスフィン（Triphenylphosphine, PPh₃）とは

トリフェニルホスフィン（Triphenylphosphine, PPh₃） は、化学式 P(C₆H₅)₃ を持つ有機リン化合物で、リン原子に3つのフェニル基（ベンゼン環）が結合しています。白色～無色の結晶性固体で、空気中でも比較的安定ですが、高温では酸化されやすくなります。主に有機合成や触媒反応において重要な役割を果たしており、特にウィッティヒ反応（Wittig reaction）やスチル・クロスカップリング反応（Stille coupling）などで使用されます。また、遷移金属錯体の配位子（ligand）としても広く利用され、金属中心と結合することで反応性や選択性を調整できます。トリフェニルホスフィンは親電子性があり、還元剤としての性質も持っています。実験室レベルから工業的プロセスまで多岐にわたる用途があるため、研究機関や化学工業で広く使用されています。ただし、粉末が吸入されたり皮膚に付着したりすると健康に悪影響を与える可能性があるため、取扱時には保護具の着用が推奨されます。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。