トロポロン（Tropolone）とは

トロポロン（Tropolone） は、七員環構造（7員環）を持つ芳香族化合物で、分子式は C₇H₆O₂ です。構造的には、ヒドロキシ基（–OH）とカルボニル基（=O）が隣接する位置にあるのが特徴で、この配置によって共鳴構造をとり、芳香族性（aromaticity）を保持する特異な化合物とされています。トロポロンは天然にも存在し、たとえば「青カビ」の一種であるPenicillium属の菌類によって産生されることがあります。化学的には弱酸性を示し、キレート剤、金属イオンとの錯形成、抗菌性化合物の原料など、様々な用途が研究されています。また、電子の非局在化が見られる構造により、紫外・可視吸収特性にも注目され、分析化学や有機合成化学の分野で関心が高い分子です。さらに、トロポロン誘導体は医薬品開発や生理活性物質のリード化合物としての応用も進められています。

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