塩化水銀（HgCl₂）とは

塩化水銀（HgCl₂）**は、水銀と塩素から成る無機化合物で、化学式はHgCl₂です。一般に「二塩化水銀」とも呼ばれ、非常に毒性が強く、取り扱いには十分な注意が必要な化学物質です。塩化水銀は、無色または白色の結晶で、湿気の多い場所では揮発しやすく、刺激的な臭いを持つことが特徴です。塩化水銀は、かつて多くの産業や医療分野で利用されてきましたが、その毒性のため現在では使用が制限されている場合が多いです。たとえば、かつては消毒薬や防腐剤、農薬として利用されていましたが、今ではその危険性が認識され、ほとんどの用途で使用が禁止されています。

塩化水銀は、その強い毒性により、人体に接触すると重篤な健康障害を引き起こすことがあります。皮膚に触れることで皮膚炎を引き起こし、吸入した場合は呼吸器系にダメージを与えることがあるため、取り扱いには特別な防護措置が必要です。また、化学的には塩化水銀は強力な酸化剤としても知られており、さまざまな酸化還元反応で利用されることがあります。例えば、塩化水銀は水銀を酸化する能力があるため、化学実験で水銀の化学変化を研究する際に使われることがあります。

現在でも、塩化水銀は一部の特定の化学反応や実験で利用されていますが、取扱いにおいては厳重な安全管理が求められます。その強い毒性を踏まえて、環境への影響や廃棄物処理には十分な配慮が必要です。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。