酸化ベリリウム（BeO）とは

酸化ベリリウム（BeO）は、ベリリウムと酸素からなる無機化合物で、無色または白色の結晶性粉末として存在します。高い融点（約2,530℃）と優れた熱伝導性、さらには絶縁性を併せ持つ非常にユニークな材料であり、特殊なセラミック材料として広く利用されています。BeOの最大の特長は、金属に匹敵する高い熱伝導率と絶縁体としての性質を両立している点です。この特性により、電子機器の放熱材料や高周波回路の基板、放射線検出器などに使用されています。また、BeOは中性子を吸収しにくい性質を持つため、原子炉の構造材や中性子反射材としても利用されます。

ただし、酸化ベリリウムはその毒性にも注意が必要です。特に微粒子を吸入すると、肺に深刻な障害を引き起こす「ベリリウム病」の原因となる可能性があります。そのため、取り扱いには厳重な安全管理と換気設備が必要とされます。技術的には魅力的な特性を多く備えた材料である一方で、その毒性により使用には高度な専門知識と設備が求められる、非常に取り扱いの難しい素材のひとつです。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。