酸化銀（Ag₂O）とは

酸化銀（Ag₂O）は、銀と酸素からなる無機化合物で、暗褐色または黒色の粉末として存在します。銀の酸化物の中で最も一般的な形態であり、化学的には強いアルカリ性を持つ物質です。酸化銀は水分と反応して銀の水酸化物（AgOH）を生成するため、水分や湿気に反応しやすいという特徴があります。この性質を利用して、酸化銀は電気化学的な応用にも使われます。特に、酸化銀は銀電池やリチウムイオン電池など、二次電池の正極材料として活用されています。また、酸化銀は触媒としても利用されることがあり、化学反応を促進する役割を果たします。さらに、酸化銀は有機合成においても利用され、特に銀を還元剤として使用する反応において重要です。医薬品や写真フィルムの製造にも使われることがあります。酸化銀の製造方法としては、銀塩を還元することによって得られ、生成された酸化銀は通常、高温で安定しています。しかし、酸化銀は強い還元性を持ち、温度が高いと再び銀に還元されることがあります。そのため、取り扱いには注意が必要です。酸化銀は有害ではないものの、細かい粉末を吸引することを避ける必要があります。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。