水酸化亜鉛（Zn(OH)₂）とは

水酸化亜鉛（Zn(OH)₂）は、亜鉛と水酸化物から成る化合物で、常温で白色の固体、通常は沈殿として存在します。この化合物は水に非常に溶けにくく、アルカリ性を示します。水酸化亜鉛は、化学工業や医薬品、化粧品などさまざまな分野で利用されています。最も一般的な用途の一つは、化学的な中和反応です。水酸化亜鉛は酸と反応して亜鉛塩を生成するため、酸性廃水の中和に利用されます。また、水酸化亜鉛はさまざまな化学反応の触媒としても使用されることがあります。特に、有機化学での反応において重要な役割を果たし、製品の合成に寄与します。

さらに、水酸化亜鉛は医薬品や化粧品においても使用されます。例えば、皮膚の炎症を抑えるための薬剤に含まれることがあり、抗菌作用を持つため、皮膚の治療にも利用されています。また、化粧品では、日焼け止めや皮膚用クリームの成分として使用されることがあります。

亜鉛化合物は、農業にも重要な役割を果たします。亜鉛は植物の成長に必要な微量元素であり、亜鉛を補うために農業用の肥料に添加されることがあります。水酸化亜鉛は、亜鉛の供給源として利用される場合もあります。

また、水酸化亜鉛は、水処理においても使用されることがあります。亜鉛の沈殿物として汚水処理や水の浄化に利用されることがあり、環境保護の分野で役立っています。取り扱いには注意が必要であり、酸と反応して有害なガスを発生する可能性があるため、適切な保護具を使用し、十分な換気のある場所で作業を行うことが推奨されます。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。