水酸化鉄（Fe(OH)₂ Fe(OH)₃）とは

水酸化鉄（Fe(OH)₂およびFe(OH)₃）は、鉄と水酸化物イオンが結びついた化合物です。鉄（II）水酸化物（Fe(OH)₂）は、鉄が二価（Fe²⁺）の状態で存在し、鉄（III）水酸化物（Fe(OH)₃）は、鉄が三価（Fe³⁺）の状態で存在します。水酸化鉄は、水にほとんど溶けませんが、酸や強い還元剤と反応します。鉄（II）水酸化物は、酸化されると酸化鉄（III）水酸化物に変化します。鉄（III）水酸化物は、黒または茶色の固体で、水酸化鉄の主な形態の一つです。この化合物は、鉄の腐食や酸化反応に関与し、水処理や電気化学的なプロセスでも重要な役割を果たします。

水酸化鉄は、鉄を含む廃水処理で使用されることがあります。鉄（III）水酸化物は、重金属や有害物質を沈殿させる能力があり、浄水工程や水質改善に用いられます。水酸化鉄は、土壌の改良や化学分析、医薬品の合成にも利用されることがあります。また、水酸化鉄は、鉄を含む化学肥料の製造にも利用されることがあります。鉄（III）水酸化物は、特に肥料の一部として農業で使用され、土壌の栄養バランスを整えるのに役立ちます。

水酸化鉄は腐食や酸化を防ぐ役割を果たすことから、建材や金属製品の表面処理にも活用されることがあります。しかし、鉄の酸化が進行すると、水酸化鉄は鉄錆（さび）として目に見える形で現れることもあります。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。