炭酸銀（Silver Carbonate Ag₂CO₃）とは

炭酸銀（Silver Carbonate, Ag₂CO₃）は、銀の陽イオン（Ag⁺）と炭酸イオン（CO₃²⁻）から構成される淡黄色の無機塩です。光や熱に対して不安定で、日光にさらされると黒変する性質があり、これは金属銀の析出によるものです。水にはほとんど溶けず、酸やアンモニア水に溶ける特性を持っています。炭酸銀は主に触媒、分析試薬、有機合成における酸化剤として利用されています。特に化学合成の分野では、ハロゲン化アルキルとの反応によってエーテル類やアルコール類の合成に用いられることがあります。また、有機化合物の酸化反応や脱ハロゲン化反応においても重要な役割を果たしています。

取扱いには注意が必要であり、熱や衝撃で分解し、金属銀と二酸化炭素を生成するため、安定した保存環境が求められます。また、皮膚や目に対して刺激を与える可能性があるため、適切な保護具の着用が推奨されます。炭酸銀は高価な原料の一つであり、主に研究用や高機能な化学製品の製造に限定して使用されることが多いです。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。