リン酸型燃料電池（PAFC Phosphoric Acid Fuel Cell）とは

リン酸型燃料電池（PAFC：Phosphoric Acid Fuel Cell）は、電解質としてリン酸（H₃PO₄）を使用する燃料電池の一種で、最も商業化が進んだタイプの一つです。燃料としては主に水素を使用し、酸素（または空気）と化学反応させて電気エネルギーを発生させます。動作温度は約150〜200℃で、比較的低温で安定した運転が可能です。PAFCの主な利点は、耐久性が高く、長時間運転に適していること、および排熱の有効活用（コージェネレーション）が可能である点です。そのため、病院、ホテル、商業施設、ビルディングなどの定置型発電設備として実用化されています。

一方で、起動に時間がかかる、プラチナ触媒を使用しているためコストが高い、などの課題もあります。しかし、安定性が高く、効率的なエネルギー利用ができるため、環境負荷の低減とエネルギー効率の向上を同時に実現できるクリーンな発電方式として注目されています。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。