受託加工とは

受託加工とは、企業が他社からの依頼を受けて、特定の製品や部品の加工・製造を行うことを指します。発注元企業が自社で生産設備や技術を持たない、あるいはコスト削減や生産能力の補完を目的として、外部の専門業者に加工を委託するケースが一般的です。受託加工の形態には、部品の切削、研磨、塗装、組立、表面処理、プレス加工、射出成形など、多岐にわたる工程が含まれます。また、食品、医薬品、電子部品、金属加工など、業界ごとに特化した受託加工が存在します。

受託加工のメリットとして、発注側は設備投資や人員確保の負担を軽減でき、受託側は専門技術を活かして安定した仕事を確保できる点が挙げられます。一方で、品質管理や納期管理の徹底が求められるため、信頼できるパートナーの選定が重要です。

受託加工の使用用途

✅ 金属部品の切削加工（CNC加工）
例えば、自動車メーカーがエンジン部品の一部を外注する場合、CNC旋盤やマシニングセンターを持つ専門業者に加工を委託します。これにより、高精度な部品を安定供給でき、自社の設備負担を軽減できます。
✅ 電子機器の基板実装（EMS：Electronics Manufacturing Services）
スマートフォンや家電製品のメーカーが、電子基板の製造をEMS企業に委託するケースです。EMS企業は、表面実装（SMT）や手はんだ工程を担い、最終製品の品質基準に沿った基板を納品します。
✅ 食品のOEM製造（プライベートブランド商品の製造）
スーパーやコンビニのプライベートブランド（PB）商品として販売されるお菓子や飲料は、多くが専門の食品メーカーに製造を委託されています。例えば、大手コンビニチェーンが自社ブランドのカップ麺を販売する際、食品メーカーが指定のレシピで製造を請け負います。
✅ 医薬品の受託製造（CMO：Contract Manufacturing Organization）
製薬会社が新薬を開発しても、自社で生産設備を持たない場合、医薬品の受託製造企業（CMO）に製造を依頼します。CMOはGMP（適正製造基準）に準拠した設備を持ち、成分の合成や錠剤の成型・包装まで一貫して行います。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。