EMC試験室 (電磁環境適合性試験室)とは

EMC試験室（Electromagnetic Compatibility Test Chamber）は、電子機器の電磁的な適合性（EMC）を評価するための専用施設です。EMCとは、機器が他の機器やシステムに対して不適切な電磁干渉（EMI）を引き起こさないとともに、外部からの電磁干渉を受けない能力を意味します。EMC試験室では、製品がこれらの基準を満たしているかどうかを測定するために、特定の環境下で試験が行われます。

EMC試験室は、通常、金属製のシールドで覆われており、外部の電磁波から遮断されています。これにより、正確な測定が可能となり、製品が他の機器に与える影響や、逆に外部からの影響を受けることがないかを評価することができます。試験室内では、電磁波の放射や伝導、サージなどのさまざまなEMC基準に対するテストが行われ、製品が国際規格や地域規格に準拠しているかが確認されます。特に、通信機器、家電製品、自動車機器、医療機器などが対象となります。

EMC試験室の使用は、製品が市場に出る前にその信頼性と安全性を確保するために非常に重要です。

EMC試験室 (電磁環境適合性試験室)の使用用途

１．通信機器: 携帯電話はEMC試験室でテストされ、過剰な電磁干渉を発生させないか確認されます。これにより、ラジオやテレビ、他の携帯電話などの周囲の機器に影響を与えないことが保証されます。また、近くのWi-Fiネットワークやラジオ局からの信号など、外部からの干渉に対しても耐性があるか確認されます。
２．自動車電子機器: 現代の車両に搭載されている先進運転支援システム（ADAS）、GPSデバイス、インフォテインメントシステムなどは、EMCテストを受けて、車両の重要な機能（エアバッグやエンジン制御システムなど）に干渉しないことが確認されます。これらのシステムは、電磁波の放射と外部からの干渉への耐性を評価されます。
３．医療機器: 医療機器（例えばMRI装置やペースメーカー）は、病院内で他の機器に影響を与えないか、また外部からの干渉に対して耐性があるかを確認するためにEMC試験を受けます。例えば、MRI装置は、稼働中に他の敏感な医療機器に影響を与えないように設計されている必要があり、外部からの電磁波により機能が妨げられることがないかを検証します。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。