ビュレットとは

ビュレット（buret, burette）とは、主に化学実験や分析化学で使用される精密な液体測定器具の一つで、滴定操作に用いられます。細長い円筒状のガラス管で、側面に目盛りが刻まれており、下端には流量を調節するコック（通常はガラスまたはテフロン製）が付いています。これにより、試薬の滴下量を微調整しながら正確に計量できます。

ビュレットは酸・塩基滴定や酸化還元滴定などの定量分析に不可欠で、特に中和滴定では標準溶液を使って未知の濃度の溶液を分析するために利用されます。一般的な種類には、酸・塩基滴定に適したガラス製ビュレットや、光や化学反応に敏感な試薬用のプラスチック製ビュレットなどがあります。使用後は精密さを維持するために適切な洗浄と乾燥が必要です。

ビュレットの使用用途

✅ 酸・塩基滴定（Acid-Base Titration）
ビュレットに標準溶液（例：NaOH水溶液）を入れ、酸（例：HCl）を含むフラスコに少しずつ滴下しながら中和点（pH7）を求めます。指示薬（フェノールフタレインなど）を加えることで色の変化を観察し、酸の濃度を正確に測定できます。
✅ 酸化還元滴定（Redox Titration）
酸化剤と還元剤の反応を利用して未知溶液の濃度を測定する手法。例えば、過マンガン酸カリウム（KMnO₄）をビュレットに入れ、鉄(II)イオン溶液（Fe²⁺）に滴下しながら酸化反応の終点を確認します。色の変化を利用して濃度を求めます。
✅ 水の硬度測定（Water Hardness Determination）
水中のカルシウムイオン（Ca²⁺）やマグネシウムイオン（Mg²⁺）の濃度を測定するため、EDTA溶液をビュレットに入れ、試料水に滴下しながら終点を確認します。これにより水の硬度を正確に求めることができます。
✅ 食品中のビタミンC測定（Vitamin C Analysis in Food）
食品やジュース中のビタミンC（アスコルビン酸）濃度を測定するため、ヨウ素溶液をビュレットに入れ、試料に滴定しながら色の変化（でんぷん指示薬による青紫色の出現）を観察してビタミンC含有量を計算します。

これらの例はすべて、ビュレットの精密な液量調整機能を活かした定量分析の一環として使用されています。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。