チオクト酸（Thioctic acid / α-リポ酸）とは

チオクト酸（英: Thioctic acid、別名: α-リポ酸）は、天然に存在する有機硫黄化合物で、細胞のエネルギー代謝に重要な役割を果たす物質です。化学式はC8H14O2Sで、構造的には、8つの炭素原子、14個の水素原子、2個の酸素原子、および1つの硫黄原子を含んでいます。チオクト酸は、特にミトコンドリア内でのエネルギー生成において、重要な役割を担っており、細胞内のエネルギー産生に関与する酵素反応において補酵素として働きます。特に、ピルビン酸デヒドロゲナーゼやα-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼなど、エネルギー代謝に関わる酵素の活性に必要な因子として作用します。このため、チオクト酸は、エネルギー代謝や細胞の健康に重要な役割を持つ物質です。

また、チオクト酸は強力な抗酸化作用を持ち、活性酸素種（ROS）を除去する働きがあることが知られています。このため、老化やさまざまな疾患における酸化ストレスの軽減に寄与する可能性があります。医薬品やサプリメントとして、糖尿病や神経障害などの治療に使用されることがあり、特に糖尿病性神経障害の治療において効果があるとされています。さらに、チオクト酸は脂溶性のビタミン様物質としても知られ、食物やサプリメントを通じて摂取することができます。特に、肉や野菜に少量が含まれていますが、体内で合成することも可能です。しかし、加齢や特定の疾患によって体内での合成能力が低下することがあるため、外部からの摂取が推奨される場合もあります。

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