フッ化鉄（Iron fluoride）とは

フッ化鉄は鉄とフッ素の化合物で、主に二価（FeF₂）および三価（FeF₃）の形で存在します。これらの化合物はそれぞれ異なる性質を持ち、化学工業や電子材料分野において重要な役割を果たしています。二フッ化鉄（FeF₂）は白色または淡い灰色の結晶性粉末で、水にやや溶けやすく、還元剤として利用されることがあります。一方、三フッ化鉄（FeF₃）は黄色がかった固体で、水にはほとんど溶けませんが、フッ素化合物との反応や無機材料の前駆体として活用されます。

これらのフッ化鉄は、リチウムイオン電池の正極材料、磁性材料、触媒、または電子部品用の薄膜材料の原料として研究・応用が進められています。特にFeF₃は、次世代電池の正極材料として注目されており、理論容量が高くエネルギー密度の向上が期待されています。

ただし、フッ化鉄は吸湿性があり、保管には密閉容器が必要です。また、取り扱い時には皮膚や粘膜への刺激を避けるため、適切な保護具の使用が求められます。化学反応性の高い物質であるため、酸や強力な還元剤との接触には注意が必要です。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。