ヘキサフルオロイソプロパノール（HFIP）とは

ヘキサフルオロイソプロパノール（HFIP, 化学式：C₃HF₆O）は、フッ素原子を6個持つ高極性のアルコールで、無色透明の液体です。その構造はイソプロパノールの水素原子がフッ素に置換された形であり、このフッ素化によって非常にユニークな物理化学的性質を持ちます。特に、非常に高い誘電率、優れた水素結合受容性、そして揮発性の高さが特徴です。HFIPは、タンパク質やペプチド、合成高分子の溶解に優れた溶媒であり、特に構造解析やスペクトル測定（例：NMRやCDスペクトル）においてよく使用されます。また、医薬品合成や有機合成化学においても、酸触媒反応や選択的な反応場として重要な役割を果たしています。さらに、ナイロンやポリウレタンの製造工程でも特殊な溶媒として活用されることがあります。

一方、安全性の面では、HFIPは揮発性が高く、吸入や皮膚への接触で健康に悪影響を及ぼす可能性があります。刺激性があり、長時間の曝露や高濃度での取り扱いは避けるべきです。使用の際は換気を十分に行い、保護手袋や保護メガネなどの安全装備を使用することが推奨されます。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。