リン酸アンモニウム（Ammonium phosphate）とは

リン酸アンモニウム（Ammonium phosphate）は、アンモニウムイオン（NH₄⁺）とリン酸イオン（PO₄³⁻）から構成される無機塩で、主に肥料として広く利用されています。一般的に使われる形には「リン酸一アンモニウム（NH₄H₂PO₄）」と「リン酸二アンモニウム（(NH₄)₂HPO₄）」の2種類があります。これらは水に良く溶け、植物が必要とする窒素（N）とリン（P）を供給できるため、農業において非常に重要な化合物です。肥料として使用されるリン酸アンモニウムは、作物の成長を促進し、根の発達や花・果実の形成を助けます。特にリン酸二アンモニウムは、速効性と緩効性のバランスが取れており、作物全般に使用されます。水耕栽培や園芸用土壌改良材としても利用されています。

また、リン酸アンモニウムは肥料以外にも、難燃剤、消火器の粉末剤、工業用洗剤の成分などとしても使われています。たとえば、乾粉消火器に使われる粉末は、熱で分解して不燃性の保護膜を形成するため、火災の拡大を防ぎます。保管には注意が必要で、高湿度の環境では吸湿しやすく、固まりやすいため、密閉容器での保管が推奨されます。高濃度のリン酸アンモニウムは水質汚染の原因にもなるため、使用量には十分な配慮が必要です。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。