安息香酸（C₇H₆O₂）とは

安息香酸（C₇H₆O₂）は、芳香族カルボン酸の一種で、白色の結晶性固体または結晶粉末として存在し、わずかに甘い香りを持っています。化学構造は、ベンゼン環（C₆H₆）にカルボキシル基（-COOH）が結びついており、非常に安定した化学物質です。安息香酸は、古くから防腐剤として利用されてきました。特に、食品や化粧品の保存料としてよく使用されます。食品産業では、安息香酸は酸化防止剤や抗菌剤として用いられ、腐敗を防ぐ役割を果たします。例えば、ジュース、ソース、ジャム、ピクルスなどの保存に使用されることがあります。また、化粧品や医薬品にも防腐剤としての用途があり、細菌やカビの繁殖を抑えるために使用されます。

また、安息香酸はその芳香性から、香料や芳香剤の成分としても使用されます。多くのフレグランス製品や、アロマセラピー用のオイルに安息香酸が含まれています。さらに、安息香酸は染料の中間体や化学合成の原料としても重要です。特に、安息香酸を基にした化合物は医薬品や化学品の製造において利用されています。安息香酸自体は比較的毒性が低いとされていますが、大量に摂取した場合には中毒を引き起こすことがあります。そのため、使用量については規制があり、特に食品や医薬品での使用には制限が設けられています。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。