塩化ベンゾイル（C₆H₅COCl）とは

塩化ベンゾイル（C₆H₅COCl） は、無色から淡黄色の刺激臭を持つ液体で、ベンゼン環にカルボニル基と塩素原子が結合した構造を持つ有機化合物です。主に合成中間体として医薬品、染料、香料、樹脂などの製造に利用され、特にアミドやエステルを合成する際のベンゾイル化試薬として広く用いられています。また、過酸化ベンゾイルの原料としても重要です。水分と激しく反応してベンゾイン酸と塩化水素を生成するため、取り扱いには注意が必要です。皮膚や粘膜への刺激性が強く、目や呼吸器への曝露により重篤な炎症を起こすおそれがあるため、換気や保護具の使用が推奨されます。空気中では分解しにくく、環境への影響も一定の懸念があります。化学的には反応性が高く、アシル化剤として多くの有機反応に利用されることから、研究や工業用途での需要が高い物質です。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。