五塩化リン（PCl₅）とは

五塩化リン（PCl₅）は、リンと塩素からなる無機化合物で、常温では淡黄色の結晶または粉末として存在します。水と反応して激しく加水分解を起こし、リン酸（H₃PO₄）と塩化水素（HCl）を生成するため、湿気に非常に敏感です。そのため、通常は密閉容器内で乾燥した状態で保存されます。主な用途は、有機合成において塩素化剤や脱水剤として使用され、特にカルボン酸を酸塩化物に変換する反応などに利用されます。また、医薬品・農薬・染料などの中間体合成にも幅広く使われています。さらに、半導体やガラス表面の処理にも用いられることがあります。

五塩化リンは強い腐食性と刺激性を持ち、吸入や接触によって皮膚や粘膜を損傷する可能性があるため、取り扱いには防護具（手袋・ゴーグル・換気など）の使用が必須です。作業時には適切な換気設備を設ける必要があります。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。