三塩化リン（PCl₃）とは

三塩化リン（PCl₃）は、リン原子1個と塩素原子3個からなる無色から淡黄色の液体で、刺激的なにおいを持ちます。常温で液体として存在し、水分と激しく反応して塩化水素（HCl）とリン酸を生成します。この性質から、湿気を避けて密閉容器で保存する必要があります。三塩化リンは、有機合成や工業的製造において重要な中間体として利用されます。特に、農薬、可塑剤、界面活性剤などの化合物を合成する際の原料や反応剤として広く使われています。また、リン酸エステル類の合成においても頻繁に利用され、これらのエステルは難燃剤や潤滑剤、添加剤として工業的に重要です。

PCl₃は反応性が高く、酸素や水分とすぐに反応するため、取り扱いには注意が必要です。特に吸入すると呼吸器系に強い刺激を与え、有毒であるため、防護マスクや手袋、保護メガネなどの適切な安全装備が求められます。また、漏洩時には腐食性の煙を発生させるため、密閉された換気の良い環境での取り扱いが望ましいです。このように三塩化リンは、その反応性と用途の広さから、化学工業において欠かせない化合物の一つですが、安全な取り扱いが絶対条件となります。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。