酸化ニッケル（NiO）とは

酸化ニッケル（NiO）は、ニッケルと酸素から構成される無機化合物で、化学式はNiOです。通常は淡緑色から灰緑色の結晶性粉末として存在し、高温で安定した構造を持つことが特徴です。NiOはニッケル金属を酸化することにより得られ、天然には「バンナイト（bunsenite）」という鉱物として産出することもありますが、産業用途では主に人工的に合成されます。酸化ニッケルは電気化学的性質に優れており、特にリチウムイオン電池の正極材や燃料電池の電極材料として広く使用されています。さらに、NiOは半導体特性を持ち、p型半導体として光電子デバイスやガスセンサー、トランジスタなどに利用されることがあります。また、高い耐熱性と化学的安定性を備えていることから、耐火性材料やセラミック顔料としても用いられます。

触媒としての用途も重要で、特に水素化反応や炭化水素の改質などで活用されています。近年では、環境に配慮したグリーンケミストリーの分野でも注目されており、NiOを用いた反応は毒性の低さや再利用性の高さから研究が進んでいます。ただし、NiOは粉末状での長期吸入により健康への悪影響が報告されており、作業環境での適切な安全管理が求められます。特に発がん性の懸念があるため、取り扱いには注意が必要です。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。