酸化ホウ素（B₂O₃）とは

酸化ホウ素（B₂O₃）は、ホウ素と酸素からなる無機化合物で、通常は無色または白色のガラス状固体として存在します。これはホウ酸（H₃BO₃）の脱水によって生成されるもので、ガラス産業をはじめ、多くの分野で重要な役割を果たしています。酸化ホウ素は、優れた耐熱性と化学的安定性を持ち、ホウケイ酸ガラス（耐熱ガラス）の主要成分のひとつです。これにより、実験器具や調理器具、照明用ガラスなどに広く使用されています。また、光学材料やセラミックス、エナメル、接着剤の製造にも利用されます。

酸化ホウ素は酸性酸化物であり、水と反応してホウ酸を形成します。この性質は、化学反応の制御や触媒としても応用されています。また、融点は約450℃と比較的低く、フラックス材（融剤）として金属の精錬や溶接工程でも使われます。一方で、吸湿性が高く、空気中の水分と反応して徐々にホウ酸へ戻るため、保管時には密閉容器が必要です。毒性は低いものの、大量に吸入したり長時間接触したりすると、粘膜への刺激を引き起こす可能性があるため、取り扱いには基本的な安全対策が必要です。その特性から、酸化ホウ素は現代の材料科学と工業プロセスにおいて欠かせない物質となっています。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。