水酸化マグネシウム（Mg(OH)₂）とは

水酸化マグネシウム（Mg(OH)₂）は、マグネシウムと水酸化物イオンからなる無機化合物で、常温では白色の粉末または結晶として存在します。この化合物は水に非常に溶けにくく、アルカリ性の性質を持っています。水酸化マグネシウムは、主に工業分野や医薬品に利用されており、その特性を活かしてさまざまな用途があります。医薬品分野では、水酸化マグネシウムは制酸剤として広く使用されています。特に胃酸過多や胸焼けの緩和に使用され、消化器系の調整を助けます。また、便秘の治療薬としても使用され、腸内で水分を保持することで便の排出を促進します。これにより、便秘の症状を和らげる効果が期待されます。

工業分野では、水酸化マグネシウムは水処理や排水処理、さらには酸の中和に使用されます。特に、重金属を水から除去するためのフィルターとして利用されることが多く、環境保護のための重要な役割を果たしています。また、セメントやプラスチック、ゴムなどの製造過程でも、添加剤として利用されることがあります。水酸化マグネシウムは、その低い溶解度とアルカリ性により、取り扱いが比較的安全ですが、過剰に摂取した場合には腹痛や下痢を引き起こす可能性があるため、適量の使用が推奨されます。また、火災の抑制にも役立つことが知られています。水酸化マグネシウムは高温で酸素と反応し、火の拡大を防ぐために消火材としても利用されることがあります。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。